
正直に言う、このドラマの存在を知らなかった
2015年にMBSの深夜枚で放送された全4話のドラマ。タイトルが『JKは雪女』。今の感覚で聞くと「深夜のお色気枚でしょ」と思うし、実際そういう要素がゼロかと言えば嘘になる。でもこのドラマ、キャストの名前を見た瞬間にちょっと事情が変わる。
横浜流星、玉城ティナ、池田エライザ、平祐奈。
2015年の時点では全員がほぼ無名。横浜流星は「烈車戦隊トッキュウジャー」上がりの若手で、池田エライザは映画に出始めたばかり。玉城ティナはViViの専属モデルで演技仕事はまだ片手で数えるレベル。平祐奈は子役からの転換期。今でこそ全員が日本のドラマ・映画に欠かせない存在だけど、当時はまだ「期待の新人」の域を出ていなかった。
そんな4人が揃って出ていた深夜ドラマがABEMAで見られる。これは「ドラマとして面白いか」以前に、「推しの原石時代を掘り起こせる」という意味で見る価値がある。
妖怪×高校×ラブコメ、設定はバカバカしいけど妙に筋が通っている
舞台は、すべての権力を志羽神社の宮司一族が握る架空の日本。60年に一度の「交合の儀」に現れたのが、雪女家系の冬城咲雪(玉城ティナ)と小雪(平祐奈)の姉妹、そして狐火家系の明洞院朱音(池田エライザ)。
姉の咲雪は志羽家の当主・龍之介(戸塚純貴)の子種を得ることを期待されていたが、人間界に降りたまま音信不通。妹の小雪が姉を探しに高校に潜入する——という話。
字面だけ見ると相当ぶっ飛んでいるが、妖怪側の「家のために子種を得なければならない」というプレッシャーと、それに抗って自分の恋愛を選びたいという葛藤が軸にあるので、ストーリーラインは意外としっかりしている。脚本は秦建日子で、深夜4話という枚を考えれば手堅い構成だ。
横浜流星の「ヘタレ時代」が逆に新鮮
キャストの話に移ろう。このドラマの最大の見どころは、間違いなく横浜流星の“ヘタレ下僕”だ。
安藤玲という役は、志羽家に代々仕える下僕の家系で、自由も制限されているが「誰より優しい心を持っている」という設定。今の横浜流星が演じるアクション全開のキャラとは真逆で、気弱で押しが弱くて、でも優しい。この時の横浜流星は19歳。まだ演技の引き出しは多くないが、逆にその不器用さが役にハマっている。今の横浜流星を知ってから見ると、「ああ、こういう時代もあったんだ」という感慨がある。
平祐奈の小雪は「じゃじゃ馬で武闘派」というキャラクターで、アクションにも初挑戦。当時17歳の彼女が体当たりで演じている姿はフレッシュだし、姉への愛情と使命感の間で揺れる芝居は年齢の割にしっかりしている。
池田エライザの朱音は、狐火一族という設定を活かした誘惑キャラ。2015年時点の池田エライザはまだ「グラビア寄りのモデル女優」というポジションだが、存在感と画面映えは当時から群を抜いている。
玉城ティナの咲雪は出番が限られるが、「雪女界の優等生」という設定通りの儂い佇まいが印象的。後の映画での活躍を知っているからこそ、この初期の演技を見ておく意味がある。
ABEMAで全話配信中
ここまで読んで「ちょっと見てみたいかも」と思ったなら、正直もう見始めたほうが早い。全4話で1話30分弱、通勤の往復で完走できるボリューム。ABEMAプレミアムは月額1,180円(税込)だけど、広告つきプランなら月額680円(税込)でプレミアム限定コンテンツも全部見られる。680円で横浜流星のヘタレ時代を拝めるなら、コスパとしては申し分ない。
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率直に書く——このドラマの限界
褒めるばかりでは公平じゃないので、気になった点も書いておく。
1. 深夜枚のノリから逃れられていない。お色気要素と妖怪バトルのバランスが中途半端で、ラブコメとしてもオカルトとしても突き抜けきれない。「どっちを楽しめばいいのか」が最後まで定まらない感覚がある。
2. 脚本のテンポが不安定。序盤の設定説明が重く、3話目あたりでようやく動き出す。全4話しかないのに前半2話をほぼ説明に使うのは、構成としてもったいない。
3. 2015年の映像クオリティ。低予算の深夜ドラマなので、VFXやアクションのクオリティは今の基準では厳しい。特に妖怪の能力描写は「頑張ってるけど限界がある」レベル。これを受け入れられるかどうかで評価が大きく変わる。
4. 演技のムラがある。全員がまだ経験の浅い若手なので、シーンによっては芝居が硬い。ただ、これは「原石を見る」という楽しみ方をするなら逆にポイントになる。
こんな人に刺さる / 合わない人
刺さる人:
- 横浜流星・池田エライザ・玉城ティナのファンで、初期作品を掘りたい人
- 深夜枚のB級ラブコメに耐性がある人
- 妖怪×高校という設定にロマンを感じる人
- 30分×4話で気軽にサクッと見たい人
合わない人:
- 映像クオリティに妥協できない人
- シリアスな社会派ドラマを求めている人
- お色気要素が苦手な人
- 深夜ドラマ特有のノリが肌に合わない人
あなたの「推し」の原点、見届ける?
最後に。このドラマ自体が傑作かと聞かれれば、正直に「NO」と答える。深夜枚のB級ドラマの域は出ていない。でも、今をときめく俳優たちが全員「まだ何者でもなかった時代」に揃って出ているドラマというのは、それだけで希少だ。
横浜流星が気弱な下僕を演じ、池田エライザが妖艶な狐火を演じ、平祐奈がアクションに初挑戦し、玉城ティナが儂い雪女を演じている。10年後の今、彼らがどこまで来たかを知っているからこそ、この4話には別の価値がある。
あなたの「推し」の原点を見届けるかどうか。それは、あなた次第だ。




